2022年11月

本レポートは、CCCMKHDがT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。

熾烈を極める麺類の進化
 22年の外食市場は流動拡大により回復傾向が目立った1年だった。直近の10月・11月の動きをみると観光流動も拡大し、その流れを受けて外食利用も活発化した。コロナ禍で長く苦しんできた外食市場にもやっと回復の兆しが見え、内食・中食・外食のシェア争奪戦は激しさを増している。
 この数年、中食市場の拡大に貢献してきたのが、うどん・そば、パスタ、ラーメンなどの麺類である。米飯類は温度変化も表現しにくいメニューが多い中、これら麺類は温冷いずれもメニュー展開が可能であり、季節変化にも強いアイテムとして支持を拡大してきた。中食における麺類のバリエーションは和・洋・中華、さらにはアジアンと拡大してきており、中食市場において麺類は売り上げを大きく左右するアイテムとなっている。麺類メニューは利用層の広さ、購入時間の広さも大きな特徴となっており、その裾野の広さが高価格品の投下を可能にしている。コンビニエンスストアでは500円超えの高価格アイテムも投下されているが、いずれも堅調な売り上げを示している。
 外食においてもコロナ禍の間に、麺類業態の拡張・リモデルが進んでいる。うどん業態ではセルフ型のチェーンが市場拡大を牽引してきたが、コロナ禍以降は1杯1,000円を超える本格志向のミニチェーンが出現してきている。
 長く新たな業態が出現してこなかったそば業態では、そばとごはんものを組み合わせて提供する「そば定食」とも言える業態や“ぶっかけスタイル”を基本とする新たな業態が出現している。パスタの世界ではカジュアルパスタの専門店化傾向が加速し、ナポリタン、ミートソース、カルボナーラなどに特化したカジュアルパスタ業態が広がりを見せている。外食市場においては近年、高い伸び率を誇ってきたラーメン業態は深夜時間帯の利用減少が響き、倒産する企業も目立っているが、ワンタンメンや汁なし麺など、従来とは異なる切り口のミニチェーンが増加してきている。
 外食・中食においては麺類はカジュアルメニューの代表格であったが、近年は原料の高騰などもあり、価格上昇トレンドが続いている。そうした中で中食では外食有名店とのコラボなどで高価格化しながら、「本格感」を軸に利用拡大につなげることに成功した。また、外食店では定食化・専門店化など、様々な工夫で原価上昇に対応する動きを見せている。こうした中食・外食の活発な動きに押され、コロナ禍直後は売り上げ拡大が目立った内食での麺類需要はやや苦戦する傾向がみられる。内食においては麺類は簡便食の代表アイテムとして支持されているが、今後は需要拡大に向けて価格以外の打ち出しも必要だろう。コロナ禍によって、内食・中食・外食において目まぐるしく進化してきた麺類はもはや食シーンで欠かせないアイテムだが、コロナ後を見据え、さらに各市場で業態刷新・新たな提供方法が出現してくることが予想される。


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※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がT会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。


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CCCマーケティング総合研究所
担当:杉浦・斎藤