健康のためのお金は減らさない
この1年で「値上げ」という言葉を何度聞いたかわからないくらい、身近なものの価格が上昇しました。総務省の消費者物価指数(2020年基準)の総合指数※を見ると、2021年の終わりごろから価格の上昇が続いていることがわかります。2022年は「値上げの1年」だったと言えるのではないでしょうか。しかしながらこの値上げは2023年も続くと言われています。
CCCマーケティング総研では、2022年7月に生活者が値上げをどの程度感じているか調査を行っており、あらゆるお店や品目に置いて多くの方が値上げを実感しているという結果が出ています。値上げは調査を行った7月以降も続きましたが、価格の上昇が目立ち始めてから約1年たった今、生活者はどのように感じ、どのような行動をとっているでしょうか。2022年12月に行った調査の結果をご報告します。
※参考:総務省統計局 消費者物価指数(CPI)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/
2022年7月調査よりも値上げを実感する人が増加
物価の上昇に対する実感を前回の2022年7月の調査結果と比較してみましょう(図1)。「思った以上に価格が上昇している」は7月調査でも6割以上が回答していましたが、今回の調査では70.1%まで上昇しました。7月よりも多くの方が想定以上の値上げを感じているという結果になりました。
<図1>
調査では、品目別に1年前と比較した価格をどのように感じているか、「とても高くなった」「少し高くなった」「1年前と変わらない」「少し安くなった」「とても安くなった」「わからない」の6つの選択肢で回答してもらっています。この中から「とても高くなった」の回答を、前回7月の調査結果と比較してみましょう(図2)。
グラフを見ると、「ガソリン」を除くすべての品目で「とても高くなった」と感じる方が7月よりも増加しています。ガソリンは前回調査時の7月は非常に価格が高いタイミングであったため、7月の調査時よりは「1年前と比べてとても高くなった」と感じる人が減ったとみられます。それでも「とても高くなった」は42.3%と高水準です。
また、調査対象の品目の中では「電気・ガス・水道」が51.2%と最も高くなっており、7月調査と比較しても12.8ポイント増加しています。他には「乳製品(バター・チーズ・ヨーグルトなど)」「食用油」「小麦粉」で「とても高くなった」と感じる方が3割以上となりました。
<図2>
生活必需品は継続購入、外食や衣類が頻度を減らす対象に
それでは、品目別の今後の購入について見ていきましょう。図3のグラフ見ると、「引き続き購入する(購入量は減少しない)」が多い品目と、「購入量・頻度を減らして引き続き購入する」が多い品目に分かれるようです。
「引き続き購入する(購入量は減少しない)」が多いのは、「生鮮食品(野菜・果物、鮮魚、精肉)」「ティッシュ・トイレットペーパー」「洗剤」「ペットフード・ペット用品」「電気・ガス・水道」「交通費」「ガソリン」「通信費(インターネット・電話)」といった人(およびペット)にとって生活に欠かせないものでした。
「購入量・頻度を減らして引き続き購入する」が多い品目としては「外食(レストランなど)」「衣類」が上がりました。食品の中では「菓子類」は「購入量・頻度を減らして引き続き購入する」が多い品目となっています。
「家具」や「家電」は今後の購入方針が「これまで購入していたものよりも安い商品・サービスに切り替える」を加え、3つに分かれる結果となりました。
<図3>
自分の健康のためにはお金をかけて
それでは「この先のお金の使い方」を見ていきましょう。図4ではイベントやテーマごとに今後のお金の使い方を表しています。全体的には、「これまでと同等の金額を使う」または「これまでよりかける金額を減らす」の回答が多く、「よりお金をかける」についての回答が少ないことがわかります。
詳細を見ていきましょう。「食事会・飲み会・パーティー」では「これまでよりかける金額を減らす」が最も多くなっています。これは、「品目別の今後の購入(図3)」の「外食」で「購入量・頻度を減らして引き続き購入する」が多かったことと一致します。新型コロナウイルス感染症の影響で以前より外食を控えているという方も存在することでしょう。
一方で「お祝い事」では「これまでと同等の金額を使う」が52.5%と最も高くなっています。例えばお祝い事での外食はこれまで通りで、日常に近い食事会などは1回の金額や実施頻度をが 減らすなど、はっきりとお金の使い方を分ける傾向が強まっていくのかもしれません。
「よりお金をかける」が多かったものを見てみましょう。「貯金」は10.7%、「自分の健康」が8.3%で他と比較すると高くなっています。この2つは「これまでよりかける金額を減らす」よりも「これまでと同等の金額を使う」が倍近くのスコアになっており、物価高の世の中であってもお金の使い道として重視している様子が見て取れます。
また、「投資」は「もともと行わず、行う予定もない」が半数近くを占めるものの、「よりお金をかける」が8.7%とこちらも高めとなっています。積極的に「増やそう」とする方も存在することがわかりました。
<図4>
物価の上昇時に収入増が追い付かない場合、生活者はこれまでのお金の使い方を変えること検討するでしょう。今回の調査からは値上げされたものを買わなくなるのではなく、値上げされても「買うもの」「頻度を減らして買うもの」など品目によって異なることがわかりました。値上げをしていない商品についても、必需品の購入が優先され「買ってもらえなくなった」ということが起こることも考えられます。買い物において生活者に選択してもらうには、生活者の気持ちや行動を理解することがますます重要となるでしょう。
調査地域:全国
調査対象者:男女16~79歳のT会員
有効回答数:2,7070サンプル
調査期間:2022年12月19日(月)~2022年12月22日(木)
質問数:全9問
質問項目
・物価高の実感
・値上げを実感した出来事
・お店(業態)別 価格変化の実感
・品目別 価格変化の実感
・品目別 値上げ実感後の購入状況
・品目別 今後も物価高が続く場合の購入意向
・イベント/テーマ別 これからのお金の使い方(聴取対象:お祝い事、旅行、子どもにかける費用、貯金等)
・物価高に対して意識して行ったこと
・物価高に関する考え
属性項目(性別・年代・同居家族・職業)
【集計内容】
・単純集計
・性年代別クロス集計
【注意事項】
・日本の性年代人口構成比に合わせて回収を行っています。
・クロス集計において、集計対象数が極端に少なくなる質問は出力していません。
【商品名/番号】
品名:値上げに関する意識調査(2022年12月)
番号:22-016-002
【価格】
集計一式:12,000円(税別)
【お問合せ先】
CCCマーケティング総合研究所
担当:杉浦・斎藤
cccmk-souken@ccc.co.jp
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