新たな生活者意識を探る~SDGs編2~

生活者のSDGsに関する意識を探る第2回目。
前回は
生活者のSDGs理解と実際の行動について詳しく見てきました。

SDGsの認知率は生活者の8割を超え、なかでも経営者よりも学生(大学生・高校生)の認知率が高いことは象徴的な結果でした。
また、SDGsアクションと認識せずに、実際には行動を実行している「無意識なSDGs行動」が見受けられたことも、我々の今後にひとつの気付きを与えてくれたように思います。

今回も、CCCマーケティング総合研究所(以下「CCCマーケティング総研」)が2021年10月7日(木)~13日(水)にかけて、2222人のT会員のみなさまを対象に「社会や自然環境に関するアンケート調査」を実施した内容を基に、生活者の情報収集や、企業に関する期待について詳しく見ていきたいと思います。
 

生活者のSDGs環境が、情報収集に影響か
 ここでは、生活者のみなさんが自身で情報収集している項目と意図せずに情報収集できている項目を見ていきたいと思います。
「ジェンダー平等を実現しよう」は、意図せず情報収集できており、自身の情報収集の割合を上回る唯一の項目です。自治体や社会などでの制度改定に加え、学校教育や社会教育、メディア等での情報発信も個々人に届いて認識されているようです。
 次に、生活者自身での情報収集も積極的でなく、意図せず情報収集することも出来ていない項目を確認してみたいと思います。偶然にも、同じ項目が並びます。
我々は「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「まちの問題をみんなで協力して乗り越えること」であったり、「産業と技術革新の基盤をつくろう」は、「新しい技術や産業を応援する」ことであると解釈しています。しかし、生活者から見ると解釈が難しく、国・自治体・企業が取組む項目と感じているのかもしれません。。
 また、「安全な水とトイレを世界中に」ついてを確認すると、日本は上下水道ともに80%以上の施設率の国であり、恵まれている水環境があるために課題意識、情報収集の意識が低くなっていると想像できます。
 このように、生活者自身のSDGs環境が、生活者の情報感度にも影響を与えていると言えるのではないでしょうか。

【図1】
SDGs 自然環境に関する調査 17のゴール

個人の重要項目と企業への期待項目は異なる
 続いて、企業への期待と生活者自身が重要だと回答した項目を比較しながら図2を確認していきましょう。
 ここでは、企業への期待で上位にくる項目と、自身が重要だと思う上位項目が必ずしも一致していない事がわかります。
個人では、「貧困をなくそう」・「すべての人に健康と福祉を」・「海の豊かさを守ろう」といった、個人の生活に影響する項目が並びます。しかし、企業への期待は、「働きがいも経済成長も」、「つくる責任・使う責任」、「産業と技術革新の基盤をつくろう」、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」といった、ひとりでは実現しにくい、もしくはひとりでは微力な事を企業がリードしまとめることで成果を出すといった項目が上位にきており、生活者自身が重要だと回答している項目とズレが生じています

【図2】
SDGs活動 企業活動 企業のSDGs

企業のSDGs活動への期待は大きく、実施時の好感度も高いが、活動の見えにくさが課題
 ここからは、生活者の企業のSDGs活動に対する期待について詳しくみていきたいと思います。
大企業へのSDGs活動に期待をする一方、活動自体の内容が見えにくいという回答もあり活動の内容を生活者にどの様に伝えていくのかは今後の課題となりそうです。
 また、企業が取り扱う商品やサービスがSDGsに関わることにより、好感度や利用促進の気持ちを半数以上の人が持つようです。
しかし一方では、自身が購入する際の価格転換には消極的なことがわかります。

企業にとって、SDGsは取組むべきことと理解しつつも、取組の発信方法や取組内容の生活者理解に、より工夫が必要な状況であると言えそうです。

【図3】
企業のSDGs活動 SDGs 企業とSDGs 中小企業のSDGs

企業がSDGSに取組むことが当たり前の時代がくる
 最後に、生活者が将来的な企業のSDGs活動に対し、どの様な視点でとらえているのかを見ていきたいと思います。
図4では、『企業の規模関係なく将来的にSDGsに取組むことが企業の責任になると思う』の設問の回答を職種別に表わしています。
全ての職種において6割以上が、「企業の規模に関係なくSDGsへの取組みは企業の責任になる」と回答しています。
中でも特に高い回答を得たのは、学生(高校生・大学生)と経営者・会社役員でした。
このことからも、企業経営者は企業規模に関係なくSDGsへの対応を求められる状況になっていると言えます。
更に、学生からの視点では、自身が入社する企業の社会的責任への取組について、入社前に確認することになるでしょう。


【図4】
SDGsの将来 SDGsの未来 企業のSDGs責任

今回は、生活者のSDGsに関する情報収集の仕方や、企業に対する期待について見てきました。生活者の目線では、個人で取り組むことと企業で取り組むことの選別がされているようです。また、大企業だけでなく、中小企業もSDGsに取組むことが生活者から求められる時代が来ることになりそうです。
しかし、SDGsの実現は国際社会、国、自治体、そして企業、生活者、社会を構成するすべてのメンバーが解決の担い手として行動することで、持続可能な社会を創っていくことが「パートナーシップで目標を達成しよう」という事になるでしょう。


 


 

【調査設計】
調査地域 :全国
調査対象者:16歳~60代のT会員男女
サンプル数:2,222サンプル
調査期間 :2021年10月7日(木)~13日(水)
実査機関 :CCCマーケティング株式会社(Tアンケートによる実施)
※性年代を日本の人口構成比に合わせて集計
本調査の集計表を販売しております。詳しくは、下記をご確認の上、お問い合わせください。

【調査内容】
質問数:全10問
内容:SDGs17項目について
Q.言葉の認知・理解
Q.知っている項目、行動している項目
Q.行動している項目(具体例を確認の上、回答)
Q.普段からおこなっている行動(81項目)
Q.重要だと思う項目

Q.情報収集している項目、意図せず情報収集できる項目
Q.企業が積極的に取り組むべきだと思う項目
Q.企業のSDGs行動について感じること(「企業に好感が持てる」など8項目)

【集計内容】
・単純集計
・性年代別クロス集計

【注意事項】
・クロス集計において、集計対象数が極端に少なくなる質問は出力していません。

【商品名/番号】
品名:「社会や自然環境に関するアンケート調査(SDGsに関する調査)」(2021年10月)
番号:21-014-002

【価格】
集計一式:12,000円(税別)

 


【お問合せ先】
CCCマーケティング総合研究所 
担当:杉浦・斎藤
cccmk-souken@ccc.co.jp

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